実務経験証明書に押印が貰えない場合の対処方法 【千葉県ルール】

建設業許可を取得する際は、選任技術者の要件を証明する資料として、該当する資格証若しくは過去の勤務先に実務経験証明書を作成してもらい押印してもらう必要があります。

過去の勤務先に作成押印してもらった実務経験証明書と、その期間過去の勤務先が建設業を営んでいた証拠を提出する事で、選任技術者が実務経験があるという事を確認するのです。

ここで多いのが、実務経験証明書に過去の勤務先が押印をしてくれないというケース。こういった場合はどう対処するべきかを解説していきます。

この解説は千葉県の建設業許可のルールを基準にしておりますので、他の都道府県の方はその点はご注意下さいね。

【このページの目次】
実務経験証明書って何?
実務経験証明書で証明するポイント
前職に実務経験証明書を貰う場合
前職が実務経験証明書に判子をくれない場合どうなる!?
実務経験証明書に押印を貰えない時の対処法
こんなケースは厳しい
このページのまとめ

実務経験証明書って何?

専任技術者の要件を確認する資料

建設業許可を取得する際には「専任技術者」といって、一定以上の建設業に関するスキルがある人材が社内にいる事が必要となります。

具体的には「営む予定の建設工事に関する資格がある」若しくは「営む予定の建設工事の実務経験が10年以上ある」どちらかが必要となります。

10年以上の実務経験を証明する書類

そこで、国家資格をお持ちでない場合「実務経験証明書」という書類を作成し、営もうとする建設工事に関して10年以上経験がありますという事を証明するのです。

書類の内容は下記のとおりです。

これらに、1年1件工事名を記載し、建設工事の経験がある事を証明します。とはいえ、これだけですと本当に建設工事をやっていたか分かりませんよね。

そこで、実務経験証明書には別途確認資料を添付する必要があります。

実務経験証明書に添付する書類

実務経験証明書を提出する際は、それに合わせて「証明する会社が建設業を行っていたか」確認できる資料を添付して提出します。

具体的な例を見て見ましょう。
建設業許可申請をしたいAさんば、過去の勤務先である株式会社Bに実務経験を証明してもらうというケースです。

【Aさんが在職中株式会社Bが建設業許可を持っていたケース】
このケースで提出する書類は下記のとおりです。

〇株式会社Bが作成した実務経験証明書
〇株式会社Bの建設業許可証(Aさん在職期間分)

株式会社BがAさんの実務経験を証明してくれて、Aさんが在職期間中に建設業許可をもっていたのであれば、Aさんはちゃんと実務経験があるのだろうという事ですね。

【Aさんが在職中株式会社Bは建設業許可持っていなかったケース】
このケースで提出する書類は下記のとおりです。

〇株式会社Bが作成した実務経験証明書
〇株式会社Bの建設業に関する請求書と入金された通帳の写し(Aさん在職期間分)

株式会社BがAさんの実務経験を証明してくれて、株式会社Bが建設業に関する請求書を発行して入金もされているなら、Aさんは実務経験があるのだろうという事ですね。

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実務経験証明書で証明するポイント

会社に所属していたか、その会社は建設業をしていたか

これまで実務経験証明書とその添付書類について解説をしてきました。専任技術者として証明する場合のポイントは以下のとおりです。

【実務経験証明書】
実務経験証明書で確認するのは「どんな工事をしていたか」「本当にその会社に所属していたか」という事です。証明書の内容でどんな工事をしていたかは分かりますよね。

また、証明書を作成してくれているなら、まぁ会社に所属していたのだろうなと予想はできます。

【建設業許可証若しくは請求書と通帳】
次に確認されるのが「実務経験証明書を作成した会社が本当に建設業をしていたのか?」という点です。

ここの確認を取らないと、ホームページ制作の会社が適当に実務経験証明書を作成して建設業許可が取れてしまう事になってしまいます。

ですので、建設業許可証や請求書と通帳を提出する事で、本当に建設業の経験があるかを確認しているのです。

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前職に実務経験証明書を貰う場合

申請書への押印は基本的に不要になった

法律の改正により、行政手続きで提出する書類に印鑑の押印は基本的に不要となりました。

今までは建設業許可申請の際は沢山会社の印鑑を押印する書類がありましたが、現在はごく一部の書類だけとなりました。

自分以外が何かを証明する際は押印が必要

自分で自分の実務経験を証明する場合、前述した法律の改正により書類に押印する必要はありません。

ですが、前職の経験を証明する場合は、証明書に前職の社長の押印が必要となるのです。他人に経験を証明してもらう時はそうでないと、実務経験証明書を適当に作れちゃいますからね。

併せて前職に用意してもらう書類

前述したとおり、実務経験証明書には別途資料を添付しなければいけません。

〇証明者の建設業許可証(在職期間分)
〇証明者の建設業に関わる請求書と入金部分の通帳(在職期間分)

どちらか必要になるものを確認して用意頂きましょう。

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前職が実務経験証明書に判子をくれない場合どうなる!?

問題となる事

前職が実務経験証明書に判子を押してくれない!通常行政手続きに印鑑は不要になりましたが、自分以外の誰かが実務経験を証明する場合は印鑑が必要だと申し上げましたね。

このまま印鑑を貰えないと実務経験証明書は無効となってしまいます。また、書類に印鑑すら押してくれないのですから、在職期間分の建設業許可証や請求書と通帳も当然貰えないでしょう。

この場合の対処方法について解説していきますね。

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実務経験証明書に押印を貰えない時の対処法

年金事務所で年金記録を照会する

実務経験証明書に判子を貰えない場合、年金事務所に行って「被保険者記録照会」という手続きを行いましょう。難しい手続き名ですが、簡単にいえば年金記録を照会する手続きです。

前職から実務経験証明書を貰えない場合、まず「本当に前職に所属していたの?」という事が問題になります。年金記録さえあれば、前職に所属していた事は客観的に分かりますよね。

前職の建設業許可取得状況を確認しよう!

年金記録を確認したら、次は前職が建設業を本当にやっていたかをどう証明するかです。実務経験証明書に判子を貰えない状況でしたら請求書や通帳は難しいでしょう。

ですが、建設業の許可を持っていたかどうかは直ぐに確認できます。国土交通省 建設業者企業情報検索システムというサイトで会社名といった情報を入力すれば大丈夫です。

上記の画像のように、該当すれば会社情報が出てきますので、、会社名をクリックして頂き詳細を確認します。

そうすると、建設業許可を取得している業種が確認できます。また、建設業許可を取得した年月日というのが記載されていますが、これらは最新の更新した時の情報。

過去の情報というのは分かりません。実務経験は10年以上証明をしなければいけませんので、直近の情報だけでは分からないのです。

ですので、ここでは建設業許可番号だけを確認しておき、次に管轄の役所(千葉の場合は千葉県庁)に電話で確認をとります。

「実務経験を証明したいけど、前職が建設業許可証の写しをくれない。現在の建設業許可番号は〇〇号です。いつからどの業種で許可を取得しているか教えて貰えますか?」

このように問合せをしてみましょう。

県庁に問合せをして、前職が必要な業種で在職期間中建設業許可を取得している事を確認できればこの問題はクリアです。あと、確認した県庁の職員の名前は控えておきましょう。

実務経験証明書は自分で作成して大丈夫

前職が実務経験証明書を作成してくれない場合、自分で作成して大丈夫です。書類の記載例を確認しながら作成しましょう。工事内容については大体覚えている範囲で大丈夫です。
※もちろん嘘はダメですが、多少の間違いは大丈夫です。

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こんなケースは厳しい

前職で社会保険に入っていなかった

建設業者は今こそ社会保険加入を厳しく言われていますが、少し前は社会保険に未加入でも問題ありませんでした。社会保険に未加入でも建設業許可の取得もできたのです。

こういった事情から、年金記録を照会しても社会保険に加入していた記録が出てこないというケースがあります。こういった状況ですと前職に在籍していた事を証明できません。

また、10年以上前職で勤務していたが、社会保険は最後の数年しか加入していなかった。という事もございます。こちらのケースでも10年の実務経験を証明できない事になります。

このような状態ですと対応する方法は二つ。「前職以外の勤務先で実務経験を証明する」もしくは「なんとしても実務経験証明書に前職の押印を貰う」しかありません。

これが出来ないと実務経験証明10年の証明は出来ないという事になります。

前職が建設業許可を取得していなかった

次に、前職が在職期間中に建設業許可を取得していなかったケースです。この場合、前職が建設業許を営んでいた証拠として建設業の請求書と入金の通帳を提出します。

ですが、そもそも実務経験証明書に押印すら貰えないのですから、請求書と通帳の写しを貰うのは難しいでしょう。結果的に実務経験10年は証明書出来ないという事になります。

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年金記録の照会手続き方法

全国の年金事務所で対応可

被保険者記録回答票は全国の年金事務所で行います。窓口で直接行っても、郵送で行う事も可能です。

【必要書類】
〇被保険者記録回答票(年金事務所にあります、インターネットでもダウンロード可能)
〇身分証明書(運転免許証や健康保険証)
〇基礎年金番号が分かる資料

【代理人が請求する場合】
〇委任状
〇代理人の身分証明書

関連リンク

被保険者記録回答票のダウンロード方法は下記URLに記載されております。
電子版「被保険者記録照会回答票」

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このページのまとめ

いかがでしょうか?今回は専任技術者の実務経験証明書に前職の押印が貰えないという時の対処方法について解説をさせて頂きました。

〇年金記録を照会する
〇前職の建設業許可履歴を調べる

上記の対応を行い、自分が前職に在籍していた期間分それぞれ記録があれば問題ありません。逆にいうと、これで駄目であれば実務経験10年の証明は難しいのです。

是非ご参考にして頂ければと思います。もし、自分ではよく分からないとお困りでしたら、J.J.works行政書士事務所に一度お問い合わせください。

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